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日本蜜蜂を知り尽くすマエストロ 養蜂家 富永朝和さん


the most beautiful villages in Japan. 本場フランスに倣(なら)った日本版の「最も美しい村」連合に加盟する信州・伊那谷中川村。
中央アルプスと南アルプスに囲まれ、のどかで美しい里山の風景が広がるこの地で、富永朝和さんは日本蜜蜂の養蜂家として長年にわたり活躍してきました。
「百花蜜」といわれ伊那谷に咲き乱れる季節の花々から採取される「日本蜜蜂のはちみつ」そして「日本蜜蜂」への溢れる思いを富永さんに伺いました。

1   日本蜜蜂を知り尽くすマエストロ 養蜂家 富永朝和さん その2

 編集部:西洋蜜蜂に比べて日本蜜蜂を飼育するのは大変難しいようですね。

 富永さん:西洋蜜蜂は人に飼われている外来種で、日本では家畜扱いです。養蜂業として複数の巣箱を所有する際は役場への届出が必要で、蜂が病気になると保健所から指導がありますし、県をまたいで巣箱を移動できない、巣箱は道路から20m以上離れた場所に設置することなど細かい制約があります。

このように人に管理されて初めて蜜蜂は生きていけるし、法の網ですくうことができるのが西洋蜜蜂の生態なんですね。

その点、日本蜜蜂は基本的に人に管理されることを拒む完全な野生種の蜜蜂です。技術を積まないことにはまず飼えないし、ましてや大量に蜜を採ることも難しい。商売とするには無理があるから養蜂家自体が少ないのです。

家畜化することを国も考えた時期があったようですが、養蜂の困難さゆえに法整備をする必要もなかったというのが実情だったと思います。

 編集部:技術的な問題が壁となって、日本蜜蜂を飼う人は相変わらず少ないのでしょうか?

 富永さん:日本蜜蜂は巣箱自体が西洋蜜蜂とは異なります。箱のしつらえ方も特別ですし、振動や騒音を嫌う生き物なので巣箱の設置場所にも工夫が必要です。でも、飼育が難しいそんな日本蜜蜂ですが、近頃は自分で蜂蜜を採ってみたいという庭先養蜂家も増えてきましたね。

私が会長をつとめる『信州日本みつばちの会』という組織があるのですが、700名余のうち会員のうち1/3は初心者ですね。
全国の会員から飼育に関して問い合わせが多いのですが、すべての要請に応えることは難しい。

それならばと今年の5月に初心者を対象にした蜜蜂の飼育講習会を地元、中川村で開いたところ県内外から430人が参加しました。

ちょっと専門的な話になりますが、その場では「近年は気候の温暖化で女王蜂が冬にも卵を産むことが多く、春には女王蜂が弱って生殖能力が落ちること」、「冬は巣箱を日陰に置き、体力を消耗させないようにすること」、「古い巣に付きやすいガやチョウなどの対策として2年に1度は巣を片付け、蜂に巣を作り直させること」などの話をしました。

新しい巣を作るために古い女王蜂が巣を出ることを「分蜂(ぶんぽう)」といいますが、これに際しては桜の木の皮を利用するといい、といった秘訣も公開しましたが、みなさん熱心に受講してくれましたね。
この「分蜂」というのが飼育の際には特に難しくて、ほとんどの人がその不手際から飼っていた蜜蜂に逃げられてしまう。

成功させるには技術の向上以外にはないのですが、それだけに会員のみなさんの目は真剣そのものでしたね(笑)

 編集部:日本蜜蜂の飼育が大変なだけに、上手に管理ができた時は会員のみなさんの嬉しさも格別なのでしょうね。養蜂自体が難しいのですから、採取した蜂蜜が本当に貴重であることが分かりますね。

その3へ続く

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