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| 伊那谷屈指の蕎麦の名店であり、遥々と関東圏や中京圏から蕎麦通らがめざす存在、それが「丸富」です。同店は今から10年ほど前に、養命酒のふるさと長野県駒ヶ根市にお店を構えました。中央アルプスの麓、清らかな空気と水に恵まれる同地と蕎麦との結び目について店主の宮島秀幸さんに伺いました。 |

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駒ヶ根の自然が息づく無二の蕎麦 『丸富』編 その2 |
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編集部:前回は素材のもつ「いのちの濃さ」についてお話を伺いました。仕事をする上で、やはり感受性は大事なファクターのひとつなのですね。
宮島さん:街で商売をする時は、素材と技術さえしっかりあれば、仕事はできます。でも、こういう自然のなかで暮らしていると、どうもそれだけじゃない気がするんです。
蕎麦を単体として見るのではなく、そばが「育つ」環境を肌で知っている、そのうえで蕎麦を「打つ」環境そのものも大事なこ とのように思えてならない。あぁ鳥が飛んできたなとか、花が咲いたなとか、日常のなかの自然の動きを感じるセンスも仕事に反映されるものだと思う。
何気ないちょっとしたことに感動するとか、そういう気持ちが蕎麦の味わいに映し出されると思います。
編集部:宮島さんはかつて詩集を出されたりオブジェを作られていたり、蕎麦屋さんとしてはユニークな一面もありますね。
宮島さん:詩はたまたま思いついたことを書き留めていただけです。伊那谷に住む詩の先生との出会いから詩集を出す機会が生まれましたが、詩人になりたいとか、そういう意図はありませんでした。
先生にいわれたことは「詩集を出すことで、君はステップを1つあがれるかもしれない」と。それはどういうことなのかなと思いながらの詩作でしたが、2006年に詩集「四つの回廊」を刊行することができました。先生には、詩集を出すことを勧めていただいただけではなく、刊行にあたっての現実的な作業の面倒を見ていただきました。
編集部:詩と蕎麦。一見、別次元のもののように思われがちですが、宮島さんのなかでは糸は繋がっているのでしょうね。
宮島さん:こことは別の場所で蕎麦を打っていたら、その地に感化されて別の何かをしていたかもしれません。駒ヶ根という場所で日々の仕事に向き合い、暮らしていくなかで自然に詩を作る感覚をもっただけのことです。
私のなかで蕎麦というものは、こう打てば、こういう蕎麦ができる。こう挽けばこうなる、というセオリーがないんです。今日はこう挽いたからこうなったけど、明日は同じようになるとは限らない。予測はできないし、毎日違うんです。それをあるレベルに導いていくには、自分の力だけではなく、やっぱり周りの力や影響が必要なんです。
自分はいつまでたっても駆け出しのような気がするし、だからこそ毎日、真っ白な気持ちで、打ち台に立つこともできるのですがーーーー。
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その3へ続く
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